サラが終演致しました。
虐待と言う大変重いテーマを題材にしておりましたが、多くのお客様にご来場いただき、まことにありがとうございます。
劇団として、新しいレベルに到達したと思える作品でした。
脚本も、演出も、参加者もみんなチャレンジしまくりました。
今までの虹創旅団では「ランチ」のような、割とライトに見れるエンターテイメント作品を創ってきました。
けれど今回は、脚本では演劇の真骨頂でもある社会問題を扱い、また演技としても一切手を抜かないものにしようと奮起しました。
私自身はプライベートがとても大変だったこともあって、満身創痍でしたし、出演もすることもあって、非常に苦労したのですが、
終わった後に思ったことは、とても強くなれたなあということでした。
私は基本的に運動音痴で、スキーも初めは全く滑れなかったのですが、スキー教室の先生にあることを言われて、滑れるようになったことを、時々思い出します。
それは「怖がるな、腰を引けば転ぶ、怖いからこそ前のめりで行け」というような言葉です。
確かに、腰が引いてしまえば、転んでしまうのですね。
それは演劇にも、人生にも言えます。
演劇を3ヶ月に一本やるという今の生活はとても大変で、もう30半ばの私にとっては未来が見えない恐ろしいものです。
腰が引けてしまえば、恐らく転んでしまうでしょう。
今回の虐待というテーマもまさにそうでした。
言わなければいけないことだと誰もがわかっているのに、尻込みして、蓋をしてしまう。
どうしても言いたかった。やりたかった。
だから、とにかく前のめりで、全部見てやるぞという意気込みで挑みました。

人生で辛い状況や苦しい状況に陥ったときに、ちゃんと自分の心の目で見て、なんでも自分が悪いのだと抱え込むのではなくて、ただ許すのではなくて、自分は何が悪くて、どんな被害を受けて、どんな痛みを受けて、どんな怒りを感じたのか、ありのままの真実と向き合い、戦うこと。前のめりになること。
サラで学んだことは、私にとってはそういうことでした。

見渡せば世界は絶望ばかりで、一部の幸せそうな人たちも、明日転落することもあるのです。
そうして転落しても、生きることを決めた時に、サラが何かの力になれれば良いと思いました。
苦しんでいるのは、決して自分だけではないのです。
延々続く闇の中で、自ずから灯台を立て、そこに人を導くものでありたい。
そんな決意をする公演になりました。
これからも虹創旅団は戦い続けます。
本当にご来場ありがとうございました。
そして、りんこさんに、愛を込めて。
えん